グループ法人税制の基本的な考え方について教えてください

 

グループ内法人間取引の譲渡損益調整(法法61条の13)等のようなグループ法人単体課税の規定は、原則的に平成22年10月1日以降の取引から適用されています。よって、グループ法人税制のもとでは資本関係の違いにより異なるルールがあるので、まず当社が行う取引に対してどのような課税ルールが適用されているのか認識するためにも当社を取り巻く関係者との資本関係を認識する必要があります。
また資本関係を表している図は法人税申告の際に添付書類ともなります。(法規35四)。予想外の税務リスクを避けるためにはこの資本関係図をもとにして、グループ法人との取引が法人税法上でいかなる取扱いを受けるかを認識したうえで、取引をおこなうことが必要です。
グループ法人税制では、次のように項目が定められています。
1.グループ内法人間の資産の譲渡取引
一定の資産(譲渡損益調整資産)の譲渡取引をグループ内の法人間でおこなったとき、譲渡損益は譲渡法人の所得計算上、一定の要件を満たすまで繰り返し延べます(法法61の13)。
2.グループ内法人間の寄附
完全支配関係のある内国法人間の寄附については、寄付金を支出した法人において金額損金不算入(法法37(2))とし、これを受領した法人については全額益金不算入とします。しかし、これらの規定は法人による完全支配関係に限ってのことであるので、グループ法人間でおこなわれる寄附については個人を頂点とするため適用されません。
3.適格現物分配
完全支配関係がある内国法人との間でおこなわれる現物分配を適格現物分配として(法法2十二の十五)組織再編税制の一環とします。また、これによって移転する資産は、時価評価の対象からは除かれ譲渡損益の計上はなされず(法法62の5(3))、源泉徴収もされません(所法24(1))。譲受法人は、資産の移転を受けたことによって発生する収益について益金不算入とします(法法62の5(4))。
4.グループ内法人からの受取配当等
内国法人が配当金等を受け取ったとき、受取配当金等の金額から負債利子を控除した残額の一定割合が益金不算入となります(法法23(1)(4)、法法81の4)。ですが、完全子法人株式等に係る受取配当等については、負債利子を控除せずに全額が益金不算入となります。(法法23(1)(4)、法法81の4(1))。
ここでいう完全子法人株式等とは、配当等の金額の計算期間を通して、内国法人との間に完全支配関係があったほかの内国法人の株式等のことを指しています(法法23(5)、法法81の4(5))。
5.グループ内法人の株式の発行法人への譲渡損益
内国法人が有価証券の譲渡しをおこなったときには、原則その譲渡しに係る譲渡損益は損金又は益金に算入されます(譲渡に係る契約を交わした日が属する事業年度の所得金額の計算上)。しかし、完全支配関係のあるほかの内国法人の株式をその発行法人に対して譲渡等をおこなうときには、その株式の譲渡損益は計上されません(法法61の2(16))。
6.グループ内における中小法人の税制不適用
法人税の軽減税率、貸倒引当金の法定繰入率、欠損金の繰戻し還付制度、特定同族会社の特別税率の不適用、交際費の損金不算入制度においての定額控除制度のような、資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人にかかる制度については、資本金の額や出資金の額が5億円以上の法人、相互会社等の100%子法人については適用しません。

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