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個人による完全支配関係における寄付金の取扱いについて教えてください
法人間の寄附について法人税法では、支出した法人において寄付金限度内で損金算入し(法法37(1))、これを受領した法人においては全額益金算入することになっています(法法22(2))。ですが、完全支配関係にある法人間においておこなわれる寄附はグループ全体でみると単なるグループ内資金移動です。よってそのような寄付金課税がおこなわれるのはグループ経営の実態には沿いません。そこで、完全支配関係のある内国法人間の寄附については、寄付金を支出した法人では全額不算入(法法37(2))とし、これを受領した法人において全額益金不算入(法法25(2))となります。ただし、これらの規定は個人を頂点とするグループ内法人でおこなわれる寄附については適用されません。(法人による完全支配官益に限られるため)
完全支配関係を有しなくなった場合、繰延べした譲渡損益の計上はどのようにすればいいですか
繰延べした譲渡損益額や譲渡損失額を計上する事由の発生時期は以下のようになります。
・譲受法人において譲渡損益調整資産につき再譲渡、償却、評価替え、貸倒れ、除却などが生じた場合
その事由が生じた日の属する譲受法人の事業年度終了の日を発生時期として、譲渡法人の当該発生時期の属する事業年度の所得金額を計算したうえで、繰延べした譲渡利益額または譲渡損失額を益金の額または損金の額に算入します
・完全支配関係を有しなくなった場合
繰延べされた譲渡損益の計上時点が、当該完全支配関係を有しなくなった日の前日の属する事業年度となります。
繰延べされた譲渡損益は、戻入処理をおこなう事業年度が異なるので気を付けましょう
医療法人における完全支配関係の判定において、議決権の有無は関係ありますか?
法人税法における完全支配関係とは、「一の者が法人の発行済株式等の全部を直接または間接に保有する関係」または「一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係」のことを指します。よって議決権の有無は完全支配関係の判定で関係はまったくありません。ただし、議決権のない種類株式、議決権が対応しない医療法人の出資持分等については関係があることもあります。判定はあくまで株式(種類株式も含む)または出資のすべてを一人の者が保持しているかどうかでおこなってください。
また、譲渡損益の繰延べを避けたい場合には、議決権のない配当優先株式等の発行を検討することもおすすめします。ただし、ストックオプション等で役員が取得した株式や従業員持株会(法667(1)に規定する組合契約)が保有する株式の持株割合が5%未満の場合には完全支配関係に該当するケースもあります。